ひとつ

ふたつ

みっつ

よっつ

いつつ


その時、全てをあなたに委ねます


















ロイが私の肩にキスをする。
男の人にしてはしなやかなその指が肩のラインをなぞり、
服の上から感じるロイの啄むような口づけ。

「ロイ、くすぐったいってば」

私はくすくすと笑う。
ロイはやめない。









ロイが私の首にキスをする。
首筋に触れる唇とロイの吐息が肌を撫で、
くすぐったさと、それとは違う何かが体に走る。

「…っ。ロイ、くすぐったいって言ってるでしょ」

私は体をよじる。
ロイはやめない。











ロイが私の手にキスをする。
手を取ってその甲に軽く音を立て口づけを落とし、
手のひらにも指にも、ゆっくりと触れていく。

「…や、っ…ロイ…」

手から広がっていく体中が溶けるような感覚に、私はふるりと身体を震わせる。
ロイはやめない














手に口づけるロイの視線が、私のぼうっとした視線と絡み合う。
口づけを受けた手とロイの手が絡み合いながらもロイの黒い瞳から私が見えなくなる事はなく、
間もなくして私の顎はロイの指に捕らえられた。

「ロイ…?」。

「黙っていろ」
「え――――




肩に落ちた啄むようなキス。

首筋に落ちた撫でるようなキス。

手に落ちた絡みつくようなキス。


それのどれとも違う、言葉も吐息も、
私の気持ちも何もかも奪い取られてしまうような荒々しいキス。
ところがそれは逆に全てを委ねてしまっても良いと感じる程、甘く感じられた。

間近に見える大好きなロイの匂いに包まれながら、
唇の感触と熱い吐息、絡む舌が立てる音にぞくぞくとした物が足先から頭のてっぺんまで走り抜けていく。
私の思考を霞ませるそれに、私はゆっくりと目を閉じた。







繋いだままの手に力を入れると、
キスとは裏腹に、私の手は優しく握り返された。






- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

2010.02.28
五感の支配