欲しい物は無いか、と問い掛けた。

君は、欲しいのは物じゃない。

そう答えたんだ。




















隣に座っている彼女が頬をうっすら染めながら、少し微笑んだ。
黒い髪が肩からするりと滑り落ちる。

「キス、がほしい」

指で彼女の顎を捉え、軽く上を向かせてそっと口付けた。
深い物ではなく、ただ啄む様なものを角度を変えて何度も何度も。

「抱きしめて、ほしい」

その言葉に口付けを静かに終わらせ、彼女の華奢な身体をそっと抱き寄せる。
私の腕に収まった彼女から安堵の吐息が微かに聞こえた気がした。

「ずーっと、傍に居てほしい」
「ああ、ずっと君の傍に居るよ」






君の笑った顔も、泣いた顔も、心も。
傍で君の全て見守っていく。






「ありがとう…」








それだけ在れば何もいらない、と彼女は呟いた。








F i n


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2005.3.19
短くてすみませ…ごふっ。