あたしに出来る事と言ったら、



これくらい。















向こうから近づいてくる音は


















上を見ると、青い空に雲が自由気侭に泳いでいた。
空を見上げながら少し歩くと、中庭の地面は土から芝生に変わったのか、さくさくと音をたて始めた。

「んー。良い天気だ」

少し伸びをすると、長時間椅子に座って書類と格闘していた体が少しばかりスッキリとした。
とはいっても、今は休憩時間ではない。
ついさっき、出来上がった書類を提出する為に訪れたロイの執務室はもぬけの殻。
そこへ、受付に書類の送付手続きをしに行っていたリザが帰還し、
呆れて立ち尽くしていたにロイの捜索をお願いしたのだった。

「こんなに暖かいと、ロイがサボりたくなるのもわかる気がするなー」

きょろきょろと辺りを見回しながら歩みを進めると、
中庭の隅っこの草むらから黒い物がちょっとだけはみ出しているのに気が付いた。
その草むらの向こう側は、建物からも中庭のどこからも完全な死角となっている。

ちょっとした希望を持ちつつ近づいてみると、その黒い物は軍靴で、
は密かに心の中でガッツポーズを取っていた。
そっと草むらの向こうを覗く。
そこにいる人物を確認すると、は小さな声で一言。

「ロイ見ーつけた」

芝生の上に横になっているロイは、柔らかな日の光を浴びながら眠っている。
は当人の横に静かに座った。




何もしないでただロイの隣に座り続ける

相変わらずの隣で眠り続けるロイ。

建物によって四角に切り取られた空を、沢山の雲が形を変えながら横切っていった。













はロイの黒い髪に静かに触れてみた。
一回だけ、さらりと梳いてみる。





「仕事量。あたしなんかよりずっと多い…」

ロイの事を良く思ってない上層部の嫌がらせも混ざってるんだよね…きっと。





ロイの前髪をそっと払うと、は露わになった額に軽く、触れるか触れないか程度のキスを落とした。





「がんばれ」





一言だけ残してその場を去った。




ほんの少しでも、あなたに休息を。

それが今、あたしに出来る事。






















「あら、大佐。やっとお戻りですか?
 ついさっきに探してくるよう頼んだのですが、見つけられなかったって悔しがってましたよ」

黒い微笑みのリザが、逃亡して1時間30分後に戻ってきたロイに言った。
いつもならば青い顔をして机に走るのだが、今日は余裕の表情。
いや、余裕の表情というより、ただ黒い微笑みが見えていないだけの様に見える。

「はっはっは。では今度も見つからないようにしないとな。
 さて、仕事に取り掛かるか。どれ中尉、書類を持ってきたまえ」
「(大佐が仕事に意欲を見せている…雨が…いえ、雪が降るわね…) はい、今すぐ」

実際、リザにとっては雨が降ろうと雪が降ろうと、
ロイが仕事をこなしてくれさえすれば、実際そんな事はどうでも良い。
今の内にと、リザは大量の書類を取りに急いで部屋を出た。
残ったロイは椅子に深く腰掛けると、くるりと180度回転させる。













窓という枠で切り取られた青い空と、そこに浮かぶ雲を見ながら、




ロイはそっと額に触れたのだった。













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2004.11.15

ひなたぼっこ気持ちいいですよねぇ〜。
地震の起きた次の日、まだ電気がきてなくてテレビも見れず、
やる事が無かったので、庭でぽかぽかとひなたぼっこしてました。
あの時程ひなたぼっこが気持ち良いと感じた事はなかったです。
目まぐるしく過ぎる日常が、突然ゆっくりになった時。
とても簡単な物に初めて気が付く事が沢山あるのかもです。