マズい事になったなぁ。
これはリザさんに助けを求めるのが一番だよ、ね?
緑青から作られる色だと聞いた
「っ…!」
資料室へと仕舞う書類を腕一杯に抱えていたら、強烈な痛みに襲われた。
下腹部を思い切りぎゅっと掴まれるような、そんな痛み。
おわかりの通り、現在あたしは乙女の宿命と闘っている真っ最中なのである。
「、はぁっ…やば…」
数日前から感じていた軽い痛みは今朝からの生理の前兆で、
2日前にリザさんと生理用品を買いに行ったのは正解だった。
元々生理痛が酷い方では無いはずなのだが、今回のこの痛みは今までとは比べ物にならない程だ。
だから薬も飲んでいない。
「か、勘弁してよ…」
もう立っていられない。
無意識に痛みから逃れようとして体はくの字に曲がり、
持っていた書類やファイルがばさばさと大きな音を立てて落ちていった。
おまけに力の入らなくなった体は重力にそって倒れていく。
結構な勢いで倒れ、その衝撃はもろに下腹部へ伝わった。
「っあ…く…」
その強烈な痛みに涙目になりながら、蹲って痛みの波が通り過ぎるのを待つ。
この大きな波が過ぎ去ったとしても、最初に感じた痛みは続くのだろうが…
「少佐!?」
痛みに意識が行く中で誰かがあたしを呼ぶ声が聞こえ、
ゆるゆるとそちらへと見ると1人の男の人が焦るようにこっちに走ってきた。
ようやく先程の痛みの波が引いてきた所だった。
「ど、どこか具合が悪いんですか!?」
「はぁ、はぁっ…ホークアイ中尉…呼んできてくれませんか?」
「わかりました!すぐに!」
「ロ…大佐にはこの事が知られないように、お願いっ、します…」
「は、はい!」
数秒の間隔で痛んだり痛みが引いたりを繰り返す合間、何とか廊下の壁に寄り掛かる事が出来た。
あぁ…早く来て下さい、リザさん…
背中に冷や汗が流れるのを感じながら、私は書類と向き合っていた。
個人の執務室ではなく部下達も仕事をする部屋のデスクで仕事をしているのだが、
これがまたあまり状況が良くない。
「大佐。手が止まっています」
「中尉…君の机の上にある物騒な物をしまってはくれないか?」
ホークアイ中尉の机上には、いつでも手に取れるよう銃が1丁。
どうも逃げられそうにない。
バタン!
突然、部屋の扉が大きな音を立てて開いた。
この部屋の扉をそんなに勢いよく開けるなど、よっぽど急いでいるのだろう。
そちらを見ると、肩で息をする1人の男が居た。
「し、失礼します!ホークアイ中尉、少し宜しいでしょうか!」
「私ですか?」
「はい、実は…」
その男は息を整えながら、私達には聞こえないような声量で中尉に何か言っている。
それを聞いた中尉は珍しく焦った表情を浮かべ、何かを考えるような仕草をした後、
ハボックを呼んで3人で部屋を出て行ってしまう。
どうやら神が私にサボれと言っているようではないか(神なんて非科学的存在は信じていないが)。
良いサボり場所がどこかにあっただろうかと、私は書類を見ながら考えていた。
「!」
「ぁ…リザさ…」
「大丈夫?」
返事の代わりに一応笑ってみた。
「お、おまえ…マジで顔色悪ぃぞ…」
「はは…ついでに言うと、吐き気も…しちゃってますよ…」
やや茶化して言ったのだが、これは結構本気だったりする。
ちょっとヤバくなって口元を押さえた。
「ハボック少尉はを医務室まで運んで。
あなたは…そうね、この書類達を資料室にお願い出来るかしら」
「り、了解っス」
「は、はっ…了解しました!」
「呼びに来てくれてありがとう。2人とも、大丈夫よ。は病気じゃないから心配しないで」
ハボック少尉に抱き上げられて医務室に向かう間際、
痛みと吐き気の中で彼に一言だけ言うのが精一杯だった。
「通り、すがってくれて…ありがとう、ございました」
「は、はい!」
「ハボック少尉、なるべくが揺れないように。振動が一番辛いわ」
「…善処します!」
少し小走りで廊下を進む。
医務室ってこんなに遠かったっけ。
外からの日差しが良い具合に当たり、瞼が少しずつ落ちてきた。
ここは仮眠室の硬いベッドとは違い、眠るには最適の場所だと言えるだろう。
少しずつ白くなる意識の中、2つの忙しない足音が廊下を移動しているのが聞こえてきた。
どんどん近付いてこの部屋の前で止まり、すぐに扉の開く音。
「ハボック少尉、ベッドへ」
「はい」
まずい…中尉とハボックではないか。何故2人がここに?
カーテンで仕切られてお互い見えないとは言え、ここで下手に動けばすぐにバレる。
ここは静かにやり過ごすにかぎ…
「ほら。この薬を飲みなさい」
「なっ、だと!?」
愛しい恋人の名前が出た瞬間、バレるバレないはどうでもよくなり、カーテンを思いっきり開けた。
中尉とハボックが驚いて私を見る中、はベッドの上で上体を起こして水をゆっくりと飲み干した。
そしてようやく私に気が付いたのか(反応が遅すぎるぞ)、口を開いた。
「え、あー…しまった、ロイだよ…」
「何だその嫌そうな顔は…それよりどこか悪いのか!?」
さすがに顔色の悪い彼女に詰め寄るわけにもいかず、残りの2人の方を見る。
ハボックはあまり知らないらしく肩を竦めたが、中尉は困ったように溜息を吐いた。
「大佐が調子に乗ると言う事は目に見えてますからね。
せっかく知らせず来たというのに、大佐のおサボりの所為で露見するとは…」
「ぐっ…サボっていた事は否定しないが、私が調子に乗るというのは何だ?」
中尉はちらっとの方を見た。
「…生理…」
「は?」
「だから生理痛なんだってば!」
もうどうにでもしろという位にヤケっぽくなっただったが、
頬を赤くしてそう叫んだ瞬間に彼女は下腹部を押さえて蹲った。
「はぁっ、はっ…ロイのばかやろー…叫ばせないでよ…」
「す、すまん」
中尉が咄嗟にの腰をさする。
「……鎮痛剤が効くまでの約20分だけ、大佐に時間をあげます。それ以上は許可しません」
「本当か!」
「行きましょう、ハボック少尉」
「はい。ゆっくり休めよ、」
「ありがと…リザさん、少尉…」
ひらひらと力無く手を振るのベッドの縁へ座り直すと、
ゆっくりと横になったに、ついっと顔だけそっぽを向かれてしまった。
「…自惚れかもしれないけど。
生理だって言ったらロイが色々調子に乗りそうで…」
「そういう事か…確かにいつか必ず子供は欲しいな」
「むぅ…」
そっぽを向いていても、少し見える頬は赤くなっていた。
意地悪したくなるよ。
「そう、か。は私との子供、欲しくないのか」
「ち、ちがっ!」
出来るだけ悲しそうにそう言ってやる。
思った通り急にこちらを向いたににっこりと微笑むと、そんな私を見てが脱力した。
「…いつかは、欲しいと思う。
その『いつか』の準備だから…だからこうやってお腹痛いのも平気だ、って思える…」
そう言って微笑んだ彼女の表情はとても優しげで、それにつられて私の方も自然と笑みが零れた。
彼女の額にかかる髪をそっと払う。
露わになった額に一度口付けてから、ゆっくりと唇にキスを落とした。
「いつか必ず…な?」
「うん…いつか必ず」
そしてもう一度2人で笑った。
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2005.8.23
子作りの計画は順調らしいです(笑)
っていうかこれ書いてる時点では、連載の2人の関係はベロちゅー以上はまだ未遂…
医務室を後にしたホークアイ中尉とハボック少尉。
「中尉…あの…」
「何かしら?」
「その…生理痛…ってそんなに痛いんスか?」
「まぁ個人差もあるけれど、腹痛・頭痛・吐き気・冷え性等…
強い痛みが2〜3日の人もいれば、軽い痛みが1週間位続く人も居るわね」
「す、スゴ…オレには想像出来ないっス…」
「子供を産む為の準備…そして出産。だから女は強いのよ」
↑つまりは、
陣痛に比べりゃ生理痛はなんてこたぁねぇよ、
色々な事を乗り越えて子供を生む女ってのは強ぇんだ。
っていう事…なんです。
何だか今更こんなバカップル書いた自分が恥ずかしくなってきた…。゚(゚ノ∀`゚)゚。アヒャヒャ