真っ白


真っ白


世界の終わりを隠すその白が


私と君を包んでいた













「道理で…」

寒いわけだ。
窓の外は太陽の光で真っ白に輝き、私は目を細めた。

…起きなさい」

布団の中で小さくなっている彼女を軽く揺すると、彼女は小さく声を漏らした。
しかし、私が動いた所為で入り込んだ冷気に暖を求め、私に擦り寄ってくるだけ。
起きる様子はない。

「…まあ良いか」

寒い中での布団の暖かさはどうにも離しがたい。
時計を見ると、まだ5時半。
出勤まで時間は充分にある。

彼女を抱き締め直し、私は再び眠りに付いた。



















「わぁあ!」

浅い眠りの中で聞こえた声に覚醒しつつ、私は心の中で少し笑った。
きっと彼女は外の様子に驚いているだろう。

「ね、寝坊した!」

目を開けると、そこには銀時計を開いている彼女。
まだ外に気付いていないらしい。

…」
「あ、ロイおはよう!寝坊しちゃったから早く起きて準備!」
「おはよう…なあ、外…」

彼女は、私の言葉に外を見やったが、特に驚くわけでもなくすぐに私を見た。
そしてぐいぐいと私の腕を引っ張って起きるように促してくる。

「雪が積もってるんだから、早く出発しなきゃだよ」



予想外だな…

てっきり雪を見てはしゃぐと思ったのに。



起きてからの彼女は、いつもと変わらずてきぱきと準備をしていった。
その様子を見ながら準備をしていた私に、「早く」と何度も言ってはいたが。

「はい、行くよ!」

雪が積もっていないいつもの道でも遅刻しそうな時間なのに、
この雪では走る事もでき…ない…筈だろう?

家を出た彼女は雪道を難なく走って先へ先へと進み、振り返って私を呼んだ。

「…何で走れるんだ…?」

歩くのは全く問題ないが、幾らバランス感覚が良くても、
この路面で走るとなると高確率で私は転ぶだろう。
呆然としている私の元にが走って戻ってきた

「ロイ?」
「無様に転ぶ様を君に見せたくないな」
「くすっ…なるほどね。じゃあ歩いてこっか!どうせこの雪でみんな遅刻だろうし」

「笑うな…どうせ雪が無くても私達は遅刻だったさ。ゆっくり行こう」




私は彼女の手を引いて歩き出した。




ゆっくり歩きながら色々聞こう。




まずは、何で走れるのかを聞いてみるか。




何でも良いから、まだ私の知らない君の事を教えてくれ。






Fin.


もしヒロインが雪国生まれだったら!です。
雪国生まれなので別段雪には驚きません。
雪国生まれなので雪道もそれなりに走れたり。
そんな感じです。

毎年、もっと早く走れるように修行してます…(笑)