雨の降る静かな日でした。











埃っぽくて、分厚い本の沢山詰まった本棚がいくつも並べられた部屋。
その部屋の片隅で、あたしはいつ終わるか分からない本の整理をしていた。
この膨大な本の整理を一人でやらされているのは、この部屋の前の持ち主の遺言の所為である。
この部屋の前の持ち主は、あたしのお祖父ちゃん。
1年くらい前に病気で死んでしまったお祖父ちゃんの遺言書に書かれていたある一文―――


『 書斎の本は全てにあげてほしい。その本達がの心の糧になれば、私は嬉しい。 』


昔、お祖父ちゃんに「は本を読むのが好きだね」と言われた事があった。
確かに本を読むのは昔から好きだったが、そんな沢山の本を貰っても…嬉しいような大変なような…
お母さんは、「お祖父ちゃんはにくれたの。だからあなたが管理するのよ」というだけで、
今あたしが一人で整理をする羽目になっている。
ジャンルが豊富すぎて1年経っても整理しきれていない。





次の本を取るべくあたしは梯子に登って本を引き出し、梯子の上で何のジャンルか確かめた。

「ええと…ある…アル…アルケミー?」

Alchemy

その単語に覚えのあったあたしは記憶を探る。
確か何処かで見た単語なのだけど。

「あ。鋼の錬金術師…」

お祖父ちゃんってば錬金術の本まで持ってるなんて…

でもこんな本が手に入るなんて嬉しかったりする。
最近人気の『鋼の錬金術師』という漫画は、あたしのお気に入り。
よくよく見れば錬金術に関する本は他にもあり、その数冊の本を抱えてあたしは梯子を降り始めた。

「うぅ…重い」

分厚い本にも関わらず、少し持ちすぎたかもしれない。
ゆっくりと気を付けながら降りていたのだけれど、不意に一番上の本が滑って落ちた。
それに驚いたあたしはバランスを崩す。
それと一緒に本までもがバランスを失い、あたしの体は梯子から離れて後ろに傾いていった。

「っ!」

ばさばさと重みのある本が床に落ちる音の中、ひときわ大きな音を立てたのはあたし自身。
お尻から落ちたので、むちゃくちゃ痛い。
何とか手を付いて起き上がるが、手を付いた先から感じる紙の感触。
「本は大事に」がモットーのあたしは、瞬時に手を引いて本を見た。
その目にうつったのは魔法陣の様な不思議な絵。

「これって…錬成じ…」

錬成陣、と言い終わる前に、紙と掌の間から光が溢れ始める。



そして空気を裂くような音。


その音を何事かと思って様子を見に来たの母が見たのは
梯子の横に落ちている数冊の本だけだった。


雨は尚も降り続ける。







鋼夢始めちゃいました〜。
どうもあたしは異世界モノ好きらしい。
第1話、長くなったから分けました。
どうかお付き合い下さいませ(ペッコリ)