かたん
ことん



かたん
ことん



















事件についての聴取は葬儀前に済んでいたので、あたしは今日セントラルを発つ事になった。
聴取は、だた質問に「はい」「いいえ」、それと少しの備考を答えるだけのどこか奇妙なもので、
その奇妙さの元を考えているうち、担当官の哀れむような目に気が付いて少し腹が立ったのを覚えている。
腹を立てたのはその軍人に対してではなく、自分にだった。














はっとして顔を上げると、ロイが心配そうな顔であたしを覗き込んでいた。
予想以上に早く終わった帰還許可の手続きも、この汽車の一等客室も、
ロイとリザさんがあたしの護衛になっているのも、全てが大総統の計らい。
だからイーストシティへの帰還は、護衛に付いてくれたロイとリザさんの帰還に合わせてのものだ。

「あ…ごめん。考え事してた」
「少し休んだらどうだ?最近よく眠れていないんだろう?」
「だ、大丈夫だよ」

「休める時は休みなさい」

「…はい…」

流石一等室だけに、部屋に備え付けられているベッドへとあたしはゆっくりと体を沈めた。
ロイに見破られた通り、どうせまた浅い眠りになってしまうのだろうと思いながら。

柔らかいシーツへ埋めていた顔を横へ向けると、不意にロイと目が合う。
ロイと目が合って程なく、意識は白くなっていき、音も遠くへと消えていくのを感じ始めた。
最近続いていた浅い眠りの疲れももうピークに来ていたのだろうか。

久しぶりの感覚に、あたしは細く、そして長く息を吐いた。





















「少し、痩せましたね…」
「そう、だな」

少し前に席を外していたホークアイ中尉が、コーヒーと紅茶を手に一つずつ持って戻ってきた。
彼女は右手のコーヒーだけ私の前に置くと、左手の紅茶は持ったまま再び部屋を後にしようとする。

「待ちたまえ」
「…何でしょうか」

私は紅茶を指さして、

「もったいない」

そう一言。
小さく溜息をついた中尉は、私の斜め前に座ると紅茶を一口飲んだ。






規則的な汽車の音と。
下から伝わってくる少しの振動と。





かたん
ことん



かたん
ことん





この2つが彼女の深い眠りを、久しぶりの休息を妨げぬよう。

私と中尉は願うばかりだった。











 →
久しぶりの更新なのに、あんまり進まなくてすみません;
もう少し行けるかと思ったのにな…