氷のように冷たく走り
火傷するくらいに熱く流れ落ちる
その手紙は事件とは無関係の一般市民によって届けられた。
しかも数人を介したらしく、犯人がどんな人物なのか特定出来なかった。
手紙に書かれていた要求は、先日逮捕した過激派グループのリーダーとその仲間の釈放。
車数台、そして多額の金。
一人の少女を解放する代わりの要求としては多すぎる。
自分の唯一の弱点となりつつあるものを見抜いての犯行に、ロイは眉を顰めながら溜息を吐いた。
「大佐、カナリ焦ってますね。いつもはこんな事件でも欠伸してる位なのに」
「そうね…が人質に取られてしまったんだもの」
「ちゃん、大丈夫ですかね!?」
を一刻も早く助けたいのは皆同じ。
約束の時刻まであと2時間。
作戦は今も練られている。
イーストシティ郊外にある倉庫街の一角。
アタッシュケースを手にぶら下げて私は立っていた。
銀時計で時刻を確認すると、指定された時間まであと5分。
離れた場所にホークアイ中尉がライフルを持って待機。
更に少し行った所にも数人待機している。
作戦は犯人に気付かれないよう少人数で行うことに決定した。
犯人がに武器を突き付けて出てくるだろう事は明白だったので、
ホークアイ中尉に予め決めた指示を出したら犯人の武器を撃ち落とすように言ってある。
彼女の腕は確かなのでそこは安心しても良い。
これは犯人が一人だった場合の作戦だが、もし数人居るとしたら、私は撃たれる事を覚悟で錬金術を使う。
皆反対したが、これが被害を最小限に押さえる事の出来る方法だろう?
「どーも。お待たせしちゃいましたかねぇ、大佐さん?」
ヤツは現れた。にナイフを突きつけて薄笑いを浮かべている。
は目を閉じていて顔に表情は無く、おぼつかない足取りで犯人に半ば引きずられているような状態だ。
「貴様……薬を使ったな」
「軍が悪いんだからなぁ」
「手紙に書いてあった要求は呑む…だが釈放には時間が掛かるぞ」
実際、要求を呑むつもりはない。
解決の為に、まずは人数を特定できるような言葉を引き出す事が先決だ。
「もう少し待てと言っているんだ。ちゃんと要求は呑むと言っているだろう!?」
「黙れ!おまえら軍が悪い!リーダーも仲間も全員捕まって、グループはめちゃくちゃだ!
俺は…必ずグループは再建してみせる!」
ハッキリと「全員捕まって」、と言った。
この事件はヤツ一人の犯行だ。
だが、しめたと思ったのも束の間で、逆上した犯人はの首にナイフの刃を立てかけた。
一瞬で頭の中が冷たくなる。
怖い、とか。
そういう事をあたしは感じていない。
意識がぼぅっとして、声も出せなくて、ただ誰かに引っ張られるのに必死に付いていく。
あたしは今どうなっているの?
声が聞こえるけど、何を言っているのか聞き取れない。
その時、霞んだ意識の中に鮮明な感覚が襲ってきた。
それは一瞬氷のように冷たく感じ、
次の瞬間には火傷するかのような熱さに変わった。
私は急いで中尉に手で指示を出すと、次の瞬間、轟音と金属の音が鳴り響いた。
犯人は手からナイフを落とし、酷く痺れたであろう腕を必死に押さえている。
その事で解放されたは地面へと倒れるが、まだ犯人が傍にいる為に近寄れない。
私は予め手袋をはめてポケットに入れていた左手を出す。
そして音を鳴らした。
「!」
「ぅ…」
焦げた犯人を尻目に、私は倒れたに駆け寄る。
抱き起こして怪我の具合を見てみると、首には赤い線が一本。
血が少しずつ滲んでは流れ落ちていが、幸い浅く切れているだけのようだ。
私の中に安堵が広がる。
「中尉、応急処置を頼む」
「ええ、わかってます」
を私が抱き抱えたまま、消毒をして包帯を巻くのを私はずっと見つめていた。
応急処置が終わった中尉は、焦げて倒れている犯人を確保すると言って静かに私達から離れた。
軍人・大佐という私の地位が危険な目に遭わせ、さらに怪我までさせてしまった。
自分に対しての怒りと、どうしようもない悔しさ。
握りしめた手が震えた。
目を覚ましたあたしは、ちらっと見た周りの状況で何が起きたのか大体悟ると、
未だ熱く痛んでいる喉を我慢して、固く目を閉じている彼の名前を小さく呼んでみた。
「ロイ?」
ロイがあたしに気付いて目を開いた時、その表情が一瞬泣いてるように見えたのは気の所為だろうか。
「…すまないっ、私の所為でこんな…」
「ロイは悪くないよ。あたしは生きてる…それで良いじゃん。
だから
そんな顔、しないで 」
あたしは震えるロイの手を両手で包んだ。
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あぁ…早く原作にならないかなぁ。
そろそろかなぁ…(自分が一番わかってるでしょ!)