莫迦だ、あたし。
















「何で…が泣くんだ?」
「…ごめんなさ…あたし…っ」

こんな顔見られたくなくて、エドとアルから顔を背けて涙を止めようと必死になる。
止めるのに必死になっていても、やっぱり心の中は謝罪の言葉でいっぱいだった。

「さっきの歌の歌詞、教えてくれない?」

顔を背けていたあたしの傍にアルが来て片膝を立てる。
あたしはこの問いに対して答えを持っている。
持っているけれど答える事など出来ない。
「この歌はあなた達兄弟を謳った歌です」なんて言えるわけがない。
だからあたしは嘘を付いた。

「ごめん…外国の歌だからあたしも歌詞の意味が、わからない…。
 好きな歌だったから何度も聞いてる内に覚えちゃっただけなの」
「そっ、か…」

あたしは上手く嘘をつけだだろうか。
アルはそれ以上聞いてくる事なく納得してくれた。







ごめんなさい。





「ごめんね、あたしが歌なんか歌ってたから」
は悪くない。好きな歌なんだろ?ホラ…」

未だ涙の止まらないあたしを見かねて、エドがハンカチを差し出してきた。
そのハンカチは少しくしゃっとなっていて、そこら辺エドらしいな、
と思いながらあたしはそのハンカチを受け取った。

「ありがとう」
















の涙も殆ど止まった頃、電話の音が鳴り響いた。
軍回線の方ではない、一般回線の方だ。
はぱたぱたと電話口の方へと向かって行く。
死角に入ったのを見計らい、アルフォンスはエドワードに小声で問いかけた。

「それにしても、さっきの歌は何だったんだろうね」
「不思議な歌だったな…」
も歌詞の意味は知らないって言ってるし、真相はわからず仕舞い…だね」
「あぁ」

が受話器を上げる音が聞こえ、
その後すぐに兄弟が気になっていたこの家の家主の名字が明らかとなった。

「はい、マスタングです」

丁度紅茶を飲んでいたエドワードは思いっきり咽せ、
アルフォンスは酷くどもってしまった。

「マ、マ、マスタング!?」
「ごほっ!ここ大佐の家なのかよ!」

「申し訳ありません、只今留守にしております……
 えぇ、はい。……ではお願い致します。……はい、失礼します」

静かに受話器を置いて2人の所へ戻ってくると、その2人は驚いた顔をしてを凝視する。
はと言うと、2人に凝視され、この家の家主がバレてしまった事を悟った。

「あはは。バレちゃった〜」
「"あの人"って大佐の事だったんだね」
「大佐と一つ屋根の下なんて危な過ぎだろ!」

いつかハボックに言われたような事をエドワードにも言われたは、
頬を染めてそれを全力で否定したが、まぁこの否定の仕方もどうかと思う。

「や、やだ、エドまで。ロイは女の人に困ってないから大丈夫だって!」

それを聞いた兄弟は、同じ事を考えていた。
は全然わかってない、と。























「私はとふ・た・り・で、
 久しぶりに手料理の夕食を食べられる予定だったのだが」

ロイはキッとエドワードを睨んだ。
先の言葉をの前でも言ったのだが、その時はにさらりと棄却されたのだった。

『2人は買い物に付いて来てくれたし、送ってくれたし、お礼なの』

そう言われて、ロイは買い物に行きたいと行ったに、
意地でも自分がついて行けば良かったと思った。

「あーそりゃザンネンでしたね。が一緒にって誘ってくれたんでー」

話題の人物は只今キッチンにてシチューを調理中である。
ロイとエドワードの間にある見えない火花に、アルフォンスはおろおろするばかり。
耐えきれなくなったアルフォンスは、を手伝おうとキッチンへと行った…と言うより逃げ込んだ。
残された2人はそれに気付いていなかったりする。
ふとエドワードの顔が真剣になった。

「大佐」
「何だね」

ロイも真剣に答える。
そんなロイにエドワードは質問をぶつけた。

「何では大佐の家に居候してるんだ?は何処の出身?」
「……私の口からは何とも言えんな」

すこしの沈黙の後にロイが口にした答えを聞いて、エドワードの目が見開く。
何とも言えない。
そのロイの言動は、軍の機密として扱われているという可能性を提示していた。
勿論の意向としての自身からの口止めという事もあり得るのだが、
ロイから返ってきた言葉に対して瞬時に浮かんだ自分の考えにエドワードはこくりと唾を飲み込んだ。

「そ、それって…」
「…について本当の事を知っている人物は本当に極々一部の人間だけでね。
 私と、東方司令部の私の部下5人、軍法会議所に居る友人…そして大総統」

軍事最高責任者の名前が挙がった事態に、エドワードはただただ驚くだけだった。
は一体どういう人物なのか、軍の機密となる程の秘密とは。色々な思考が渦巻く。
そんなエドワードを見かねたのかどうかはわからないが、ロイがひとつ付け加えた。









自身、君達に話せるようになったら話してくれだろう」















 

何気にエドに自慢っぽく話してる感じに聞こえる・・・
そういうつもりでロイは話しているワケではないのですっ(>_<)
最初の方、エド夢に見えるかも・・・これロイ夢の筈なんだけどな;