「眠った?」
「ああ」
今までの思いを溢れさせたは、沢山の涙を零し、
最後はロイの胸に寄り掛かりながら眠ってしまった。
ベッドに横にさせて毛布を掛けると、ベッド周りのカーテンを閉め、
ロイとエドワードは少し離れたソファーへ。
右半身が無いに等しく動けないアルフォンスは、ほんの少し離れた壁へ寄り掛からせた。
各々が自分の思考に沈む中、程なくしてロイが口を開いた。
「少し妙だな…」
「何が?」
「君達は、自分の体についてと、そうなるまでの経緯をに話したか?」
エドワードは至って普通に首を振る。
「いいや…アルは言ったか?」
「ううん。、怖がると思うし…」
「私も言っていない。だが、は君達の体を見ても驚かなかったし、疑問も持っていないようだった」
エドワードは気付いていなかった事に目を見開いた。
「の真実は君達にとって有益な情報と言えるだろう。
そこで彼女は君達の体についてと、それについての情報を欲しがっていると言う事を
知っていた上で自身の話をしたのではと、私は推測する」
「「!」」
「それに、何故がスカーの目的を知っていたのかもある」
「そういえば…」
3人はベッドを囲むカーテンを見た。
「ん…」
泣いた所為か頭が少し痛む。目も腫れぼったい。
あの時本音を吐いてしまった事で、自分自身これからどうすれば良いのかわからなくなってしまった。
死にたくはないのに、生きていてもダメ。
本当にあたしはどうしたら…
「目が覚めたかい?」
閉められていたカーテンを少し開けて顔を覗かせたのはロイだった。
ロイが更にカーテンを開けると、エドとアルの姿も見えた。
「聞きたい事があるんだ」
「…うん。話せることなら…話す」
この言葉には暗に別の意味があった。
未来に触れるような事は話せない、という意味だ。
それを3人が知る術はない。
近くにあった椅子を引っ張り出してきて、ロイとエドは座った。
アルは動けないから壁に寄り掛かってる。
「は、オレたちの体の事知ってた?」
「あ…」
「誰かから聞いたの?」
アルの問い掛けに首を振る。
どうしよう。
ただ2人の体が戻る為の情報になればと思って話したのだが、
それは逆に2人のことを既に知っているという事にもなっていた。
漫画のことを話しても良いのだろうか。
そんなことして良いのだろうか。
「…?」
頭の中で色々な思考が巡る。
その時、また突然に携帯が鳴り始めた。
「あ…え?」
ロイの家で鳴ったのと同じ曲は、メールの着信を主人に知らせている。
差出人は誰かわかっていた。
メールを開くと少し長めの文章が目に入った。
『件名:なし
本文:その鋼の世界は確かに鋼の世界。
でも漫画の世界じゃない、ただ酷似しているだけの世界。
あなたの好きなようにすれば良い。
言葉も話せるようにもした。文字を読めるようにも書けるようにもした。
あなたをわざわざ東方司令部の中庭に飛ばしもした。
そこまでしてあげたんだから…生きてよ』
さっきの電話とは明らかに矛盾している。
でもそのメールにあたしは確かに救われたんだ。
『件名:なし
本文:ありがとう』
そう打って、送信。
すぐにまたメールが届いた。
『件名:なし
本文:やっぱりあたしは「あなた」なんだ。
自分は悪役になり切れなかった…「あなた」だから』
少し微笑むと、涙が一筋頬を伝った。
ありがとう…
「…今のは…?」
涙を拭いて3人を見た。
迷いは無い。
「携帯については後でね…ロイも質問あるんでしょ?
多分エドとアルの質問と一緒に答えられると思う」
「そう、か。私が聞きたいのはスカーについてだ。
軍が知り得ていなかったスカーの目的を何故知っていたのか」
ロイの質問を聞いて、やっぱりと思った。
2つの疑問は持たれて当然の疑問だ。
あたしは一呼吸置いて話し始める。
「その2つについての答えは、『知っていた』から、よ」
「それは答えになって…」
「なってるの。ただ…この世界に来る前から『知っていた』の」
「この世界に来る…前から?」
「それって…」
あたしは『鋼の錬金術師』という本について話し始めた。
「あたしの世界…国に、ある本があるの。
主人公はエドワード・エルリックと、その弟アルフォンス・エルリック」
「なっ!?オレと…」
「ボク…!?」
「本の題名は『鋼の錬金術師』」
2人は顔を見合わせた。
もちろんロイも驚いている。
「それじゃあ…オレたちの過去も…」
「うん、その本に書いてあったから…。
あたしが居ると言うこと以外、この世界はその本に酷似しているの。
エドやアル。ロイも、東方司令部のみんなの事も最初から知ってた。
みんなを騙すような事してて…ごめんなさい…」
その本の内容は今現在進んでいる所までぐらいしか話せない。
これから進む先がどんな物なのか、誰にもわからないのだから。
「タッカーのこともニーナのことも、あたし知ってた。
忘れてた、て言うのは言い訳にならない。
きっと心の何処かで逃げてたの…ニーナを助けた為に他の誰かが犠牲になるんじゃないかって」
「等価交換…か」
「でも結局見捨てたことに変わりない…」
自分の弱さがすごく嫌で、毛布を震える手で握りしめた。
すこしの沈黙の後アルが口を開いた。
「ボクも兄さんもニーナを助けられなかったのは凄く悔しかった。でも…」
「ああ、も悩んで傷付いて、助けられない事で辛い思いをした。
それだけでも充分だと私は思う」
そう言って、いつかあたしがロイにしたように、ロイは自分の手をあたしの握りしめられた手に重ねる。
その大きくて、温かな手は、あたしをこの世界に繋ぎ止めてくれるようだった。
涙が出る。
最近泣いてばっかだよ、あたし。
ずっとあの子の笑顔を心に残していこう
そして、生きて大切な人や大好きな人達を守っていこう
『守る』という意味を間違える事なく
← →
最終回じゃありませんよー(笑)
まだロイとくっついてないですからね〜;
にしても微妙な関係です・・・あはは。
連載始めた当初から悩んでいた所はここなんです。
ちゃんが『知っている』と言うことを3人に話すか話さないかで
どっちにするかでこれからの話の進め方が全然違う方向に行ってしまうので・・・