白い天井。
ふかふかで暖かい毛布。
気持ちよくて眠気をさそう感じ。
と、ここまでは東方司令部の医務室と何ら変わりはない。
でもあたしが今横になっているのは、軍病院のベッドの上。
昨日の夜ここに運ばれ、個室で無駄に広くて豪華な…VIPが使うような部屋に入院が決定した。
入院は2〜3日。
入院理由は「検査&経過を診る」だそうだ。
『血を吐いて大丈夫なわけないだろう!』
『俺、車の準備してくるっス!』
『ちょっ、この位ホントに大丈夫だからっ』
血を吐いた本人が大丈夫と言っても説得力は皆無。
そんな押し問答を繰り返す内、車の用意をしに行っていたハボックが帰ってきた。
そしてロイはを軽々と抱き上げる。お約束のお姫様抱っこだ。
『ひゃぁっ!お、降ろしてっ』
『却下だ』
抵抗しても、全く降ろす気配のないロイの腕の中でがじたばた藻掻いてると、
急に眩暈を感じ、力の抜けたの体は大佐に寄りかかる形になった
『う…』
『大佐!早くしないと!』
『わかっている』
そしてはそのまま病院送りとなったのだった。
「はぁ。ヒマだよぅ」
窓の外を見る。
ベッドの上に寝転んでいた為、空しか見えなかった。
真っ青な空に白い雲、そして窓の外の中庭から時折子供の声が聞こえた。
検査の結果は、医者も首を傾げる異常無し。
でも左腕には点滴がバッチリ繋がっている。
昨晩の眩暈は、血を吐いた所為での貧血だった(と思う)。
これから2日は経過を見るだけの入院…しばらく、ヒマな時間を過ごせそうだ。
東方司令部のみんなが休憩時間の合間を縫って来てくれるのだけど、
やっぱり休憩時間というのは短い。
30分位前には、ハボック少尉とブレダ少尉が来てくれたんだけど、ついさっき帰ってしまった。
みんな仕事なのだから仕方がない。
「はぁ〜」
あたしは本日何度目とも知れない溜息をついたのだった。
少し離れた机の上には、あたしが唯一持っていた所持品が2つ。
携帯は女子高生(だけではないが)の必需品なのでポケットに入っていたし
MDプレーヤーも、一人寂しく本を整理するあたしのオトモダチだった為か、携帯とは反対のポケットに。
携帯はいじりたくても、病院内で携帯は電源オフだ。
この時代の病院でオフにしても医療用精密機械が無いのであまり意味はなさそうだが、
病院内で使うのは何となく気が引ける。
携帯を使うにはやっぱり外に出―――
「あ、外に出れば良いのか!」
何で気付かなかったのよ、あたし。
携帯持って点滴のカラカラ(?)と仲良く中庭にゴーだ。
がちゃ
「あら、さん。何処へ行くのかしら?」
病室を出た瞬間看護婦さんから呼び止められた。
っていうか早ー!
ニッコリと満面の笑みで問いかける看護婦に、あたしも負けじと笑顔で応戦。
「そ、そりゃあ中庭ですけど?」
「ダ・メ・で・す。大佐から止めるよう言われてます」
この看護婦は見張りらしく、あたしを無理矢理ベッドに戻す。
「さん。今日は暖かいし風が気持ち良いから、窓を開けておくわね」
看護婦は窓を開けると直ぐに部屋を出ていった。
風だけで我慢しなさいという事らしい。
何か悔しい…大佐ってば余計な事を!
何とか部屋を抜け出す方法は無いかとあーだこーだ考える。
ドアには見張りがいるし、他に出られる所なんか…あった。あったよ!
幸いここは1階だ。
あたしはオトモダチの点滴カラカラ(命名)を、ぶつけないよう慎重に窓の外に、
つまり地面に降ろし、自分自身も点滴が抜けないよう慎重にひらりと窓から外へ出た。
脱出成功だ。
の部屋にノックの音が響いた。
「?」
返事が無いのを不審に思ったロイがドアを開けると、
時既に遅し。そこにの姿はなく、ロイの笑顔は引き攣っていた。
← →
大佐「私の出番が少ないようだが」
ミハル「だ、だって話の流れってのがあるし」
大佐「問答無用!」
ミハル「えぇっ!ちょっと待っ」
ぱきんっ ぼっ
ちーん