なんて

君らしいんだろう
























「熱い…」

ロイは顔をしかめた。
熱源はとろりと虚ろな目で荒く呼吸をし、頬を赤く染めてロイを見上げている。
彼女の額にのせた手を自分の額へ移動させれば、温度の違いは尚明確に。

「風邪だな」
「…でも、仕事…」
「はぁ…こんな時に何を言ってるんだ。ほら、計りなさい」

は渋々差し出された体温計を受け取った。

5分後、体温計を見る気力もなくなってきたからロイが体温計を受け取ってみると、
それはロイ自身もあまり見る事のない数値を指していた。

「38度9分って…今日は私も休みだから、ゆっくり休む事」

そう言って部屋を出たロイは、電話口へと向かう。
ロイが居なくなった部屋ではすっぽりと布団を被った。

















が風邪を?』
「かなり熱も高くてね…それなのに仕事の心配をしている」

先程のを思い出して少し苦笑いしたが、電話の向こうにいる中尉も同じ様子だ。

『あの子らしいです。きっとこちらに来てからの疲れが出たんでしょう』
「ああ。多分そうだろう。とにかく、今日は休ませるから宜しく頼む」
『わかりました。こちらは大丈夫ですから、ゆっくり休ませてあげて下さい』
「ああ」

電話を切ろうと耳から少し離した所で中尉に呼び止められた。
再び耳に当てる。

「何だ?」
『熱が高い時におすすめな物があるのですが…』
















の所に戻ると、丸まった布団がすぐに目に入った。
近づいて少しだけ捲ると、は枕に顔を押し当てている。

?」
「……何で?何で風邪なんか、ひいちゃうの?
 ロイは折角の、休みなのに…本当に、休んで欲しいと思うのは、ロイの方なのに…」

風邪の所為なのか途切れ途切れで声は大分小さかったが、私にははっきりと聞こえていた。
顔をこちらへ向ける様に促すが、は更に枕へ顔を押しつける。
それでも多少無理矢理に顔をこちらに向かせれば、その目はうっすらと赤い。

「泣いていたのかい?」
「違…風邪、だから…」

そうだとは思えない。
の表情が今にも泣き出しそうだから。
そんな彼女の強がりも私にとっては愛おしいだけで、ゆっくりと支えながら起こした彼女を抱き締めた。
布越しに触れた肩は、やはりいつもより熱く感じる。

「仕事中もが一緒だから疲れなんて感じないよ」
「うそつき…」
「嘘じゃない。ほら、これを冷めない内に飲んでゆっくり眠ると良い」

サイドテーブルに置いておいたカップをへ差し出すが、今は手をあげるのも億劫の様だ。







私は適量口に含むと、へと口付けた。

「んぅ…」

の口内へと少し流し込み、飲み込んだのを確認してまた少し流す。
何度かそれを繰り返し、自分の口が空になった所で唇を離した。

「うつる…」
「それもまた良いな」

私は少し笑った。











唇に残るのは




甘くてすっぱい




蜂蜜と檸檬の香り











 

『はちみつの葉』とは、一応メリッサの事を指しております。