愛おしくて愛おしくて



仕様がない















「は?出張?」

受話器を片手に目の前に立つ少女を見ると、
窓の外を見ていた彼女が私の視線に気が付いて苦笑いを浮かべた。

本人で至急作ってもらわないといけねぇ書類が何枚か出来ちまってな』
「仕事に関するものなら郵送で事足りるだろう」
「なんか戸籍に関する書類みたい」

ヒューズへの質問にが答えた。
その声が聞こえたのか、受話器の向こうでヒューズが肯定する。

『郵送じゃ間に合わねぇんだ。と言うワケで、ちょいとを借りるぞー』

さも楽しそうに笑うヒューズに、私は勢いよく受話器を置いた。
アイツは絶対楽しんでいる。
きっと、切れた電話を置きながら未だに向こうでくつくつと笑っているだろう。






















時計の針が10時を指す。
リビングでの他愛のないおしゃべりのうちに、ふと左肩が重くなったので目を向ければ、
が眠たげな目をして私の肩に頭を預けている。
話を振っても返事はどこか上の空で、次第に声も小さくなって遂に返事すら返さなくなった。
静かな寝息が聞こえる。

「全く。君は何とも思わないのかな…」

彼女の頬に掛かる髪を払って苦笑いした。
起こさない様にと静かに抱き上げのだが、まだ眠りが浅かったのか小さく声を漏らした。

「…ん…」
「っ」

うっすらと開いた形の良い唇。
開いた唇から覗く彼女の小さな紅い舌。


目が離せない。


何とか視線を外したのだが、
今度は彼女のすらりと伸びた白い四肢が視界に入り、今日はやけに私の気持ちに拍車をかける。








これ以上は危険だ。








「ろ…い?」

舌足らずに私を呼ぶ声と、とろりとした眼で見上げるその表情。


恐らく、明日から暫く触れられない事が更に私を昂揚させている。
離れる事を何とも思っていない様な彼女の態度もきっとまた―――

未だ眠たげなを私の部屋のベッドに横たえると、白いシーツに相反する黒い髪が広がった

彼女は再び眠りに落ちかけている。
その彼女の頭の両脇に手を付いて覆い被さると、ベッドのスプリングが小さく軋んだ。

始めは啄むように口付けていたが、それを次第に深いものへ変えていった。
眠りの所為か緩慢な彼女の舌を絡め取り、
軽く吸ってやれば彼女の身体がぴくりと生理的な反応を返した。

「っ…ぁふ…んぅ!?」

深いキスの合間、やっとの意識がはっきり覚めたようだ。
ゆっくり唇を離すと、肩で息をするが私を見上げた。
この状況がまだ掴めていないらしく、うっすらと涙に濡れた眼を瞬かせる。

「っ、君は何とも思わないのかな?」

つい先程漏らした疑問を再び口にする。

「ロ…ロイ?」










「君が欲しい」













 

な、何かすみません…短いし…
今回はオールロイ視点で進めさせてもらいました。
自分はなかなかロイ視点っていうのが少ないので。