それは苦難に歓喜を
戦いに勝利を
暗黒に光を
死者に生を約束する 血のごとき紅き石
人はそれを敬意をもって呼ぶ 賢者の石 と
何故だろう。
一番近くにあるものが、一番遠く感じるのは。
「たしかにこれは知らない方が幸せだったのかもしれないな…
この資料が正しければ、賢者の石の材料は生きた人間…」
オレは胸の焼けるような気持ち悪さに顔を歪めた。
「しかも石一個を精製するのに、複数の犠牲が必要って事だ…!」
「そんな非人道的な事が軍の機関で行われているなんて…」
「許される事じゃないでしょう!」
そんな事言ったって、これは事実であり…真実なんだ。
「エド。アル」
どこか聞き覚えのある声に、オレとアルはハッと顔を上げた。
護衛の2人はというと、何かを突然思い出したように顔を青くしている。
「あっあなた…まさか今の話聞いて…!」
「「…!?」」
何でここに居るんだ。
「ね、2人とも。少し…休もう?」
ああ、そうか。
は『知っている』んだ。
やっと見つけた『真実』が自分達の求めていた物と懸け離れてた事に、
瞬間、誰でも良いから助けて欲しい、誰でも良いから縋りたい、そう思った。
でも、それは何か違う気がして……オレは目の奥から込み上げるものに、目を瞑る事で抵抗する。
「…ロス少尉。ブロッシュ軍曹。
この事は誰にも言わないでおいてくれないか?」
「しかし!」
「たのむ…
たのむから聞かなかった事にしといてくれよ…」
覚束ない足取りの2人を、護衛の2人と何とか宿まで送り届ける。
ちゃんと知り合いだというのがわかって、あの後ロス少尉もブロッシュ軍曹も普通に接してくれた。
「は…何でこっちに?」
「ん、ちょっと用事があってね…1週間くらい居る予定」
ソファーに座らせたエドが伏せていた目をあたしへと向けると、
あたしは立っている為にエドが見上げる形になる。
「なぁ、聞いても良いか?」
「…ボクも…」
ソファーの裏側に身を縮めていたアルも、振り返ってあたしを見た。
あたしはその視線から逃れるように目を閉じ、小さく首を振る。
「今のエドとアルに必要なのは、あたしからの情報じゃない…
まずは心の方、整理しよう?
また明日来るから、その時に教えられる事は教えるよ…」
そう言い残し、あたしはひとまず自分の取った宿へ行く事にした。
部屋の外にいたロス少尉とブロッシュ軍曹に軽く会釈をして去ろうとしたが、
不意にロス少尉に呼び止められる。
「あの!…ちゃんと自己紹介してませんでしたよね。マリア・ロス少尉です」
「デニー・ブロッシュ軍曹であります」
突然の事に一瞬呆然としてしまったが、すぐにわかった。
ロス少尉もブロッシュ軍曹も、今の2人を見ていられないし、助けたいと思っている。
同じなんだ。
「・です」
わかった2人の気持ちが嬉しくて、無意識に笑みが零れる。
あたしは、差し出された手を順に握りかえした。
の去った方を未だに見ているロス少尉に、ブロッシュ軍曹が声を掛けた。
「ロス少尉、どうかしたんですか?」
「・…何かどこかで聞いたような気が…」
← →
ロイが出てこない。
ロイとイチャつきたい…
イチャつきたいんだーー!
。゚(゚ノД`゚)゚。 ゎー