リザさんに言われた通り、持った銃を両手で真っ直ぐに構えると、いよいよ緊張が走る。
照準を的の真ん中、つまり心臓の部分へ合わせた。
「そう、そのまま…」
「は、はい」
あたしはゆっくりと引鉄を引いた。
ドン!
「ぃったぁー…」
思ったよりも反動が凄い。
何とかひっくり返るのだけは回避したものの、腕はびりびりと痺れている。
特に痺れの酷い利き腕をさすった。
「大丈夫?」
「何とか…」
「でも、初めてでここまで持ち堪えて的も掠るなんて、はスジが良いわ」
そう言われて的をよく見ると、はじっこの方にぽつんと穴があいているのが見える。
(因みに、あたしの的は初心者用にと近付けているので、何とか肉眼で確認可能)
まさか初めてで的に当たるとは全く思っていなかったから、自分でも驚いてしまった。
「後はこの反動に慣れて、もっと早く照準を合わせたり出来ると良いわね」
「はい」
早撃ちの練習を始める以前に、まずは弾が急所に当たるようにならないといけない。
あたしは再び銃を構えた。
何度も撃つ内、反動にもやっと慣れてきた。
それに、少しずつではあるが、撃った弾は急所へと近づいている。
リザも今は隣のスペースでライフルの訓練中の為、
は休憩がてら、借りた双眼鏡でリザの狙う的を見てみることにした。
リザが撃ち出す弾丸は、音がする度に確実に急所を射ている。
「うわ、凄い…」
やっぱり銃の扱いに置いても仕事に置いても、リザはの憧れの存在なのである。
その時、入り口の方が少し騒がしくなった様なのでは仕切りから顔を覗かせてみた。
そこには入り口の辺りでエリックと話す見覚えのある人物の後ろ姿。
近くにいた憲兵2人組の話し声が聞こえた。
「お、大佐だ。珍しいな」
「ここにはあんまり来ないってのに、今日はどうしたんだ?」
訓練を怠れば腕は落ちる。
それでロイも訓練に来たのだろうと思いつつ、は再び銃を構えた。
「調子はどうだい?」
後ろから声が掛かった。
が、構えていた銃を降ろして振り向くと、ロイが微笑みながらそこに立っていた。
「ロイも練習に来たの?」
「いや、やはりこうした方が良いと思ってね」
ロイはすいっとに近づくと、後ろから覆い被さる様にしながらの腕を支え、銃を構えさせた。
後ろから見れば、はロイにすっぽり隠れて殆ど見えないだろう。
「わわっ…ロイ、離して…」
顔を赤くしながら抵抗を試みるに、ロイは耳元へ顔を寄せて囁いた。
「本当は君に銃なんて持たせたくはない…」
「で、でも…」
耳元で響くロイの声と掛かる吐息に、はきゅっと目を閉じた。
「わかってるさ。これは私のエゴだ。
さぁ、目を開けて、しっかり的を見なさい」
その一発は、的の心臓を撃ち抜いた。
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ロイの『セクハラ式銃火器訓練法』です(笑)
いやー、是非指導して貰いたいです(笑笑)
本当はリザもちゃんに銃を持たせたくなかったので、
小声で聞こえたロイの言葉に、セクハラを止めようにも止められなかったというか。
目を瞑ったという事で…(遠い目)